[職業病2]
 
 さて 弁理士の職業病の続きですが 「イメージして一瞬自分が別のものに成りきってしまう」ことがあげられます。
 ブルース・リーの映画を見た後に一時的に気分がカンフーに成るのとよく似た現象ですが、そんなことが日常的におこります。本当にちょっとしたきっかけで 一瞬ですが成りきってしまうのです。

 例えば、私は息子がセミを捕まえたとき 瞬時に気分が「捕まえられたセミ」に成って、逃げようとして「ジー」と無いているセミの私をイメージしてしまいます。熱そうな料理を見ると「熱い料理を食べて口を火傷して叫んでいる自分」をイメージしてしまいます。散歩していて愛い子犬を見たときは自分も子犬になった気分で歩いてしまいます。

 以前勤務していた事務所の弁理士は「釣り針」の発明について特許出願原稿を書きながら 自分が「釣り針に掛かった魚」の気分になって口を歪めていました。

 上級者(?)になると 生き物だけでなくイメージで自分が「飛行機」,「歯車」,「電流」,「水素原子」,「タイヤ」などに成り切れます、そして一瞬 それらの物体として動きます。普通は頭の中だけで動くのですが、重傷になってくると本当にそのものと同じような動作をしてしまいます。 そんな様子を知らない人が見ると その弁理士が危険な人に見えます。

 このような職業病が生じるのは、特許出願の原稿を書く際に 発明と関連する「モノ」に成りきった方が発明の対象となる機械等の構造や動きが理解しやすいからです。毎日毎日 イメージの世界に入っているとイメージすることが身体に染みついてしまうのでしょう。

 そんな私を見て 家内は 「何にでも成れて 楽しそうね。」 と あきれています。


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