さかな  わかっちゃう  知的財産用語
特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


引用例 (いんようれい)


 引用例 とは、

 審査官が拒絶理由通知において出願を拒絶する根拠として示した公報や文献などのことです。

 「引例(いんれい)」や「引用文献(いんようぶんけん)」と呼ばれることもあります。


 特許,意匠,商標の出願については法律で決められた登録要件(特許要件)を備えているかどうか審査されます。

 審査の結果、審査官が拒絶すべきと判断した場合、その旨が拒絶理由通知書で出願人に通知されます。(詳しくは「拒絶理由通知書」参照ください。)


 そして新規性や進歩性が無いことを理由に出願を拒絶する場合には、拒絶理由通知書にその根拠となる公報や論文,書籍,カタログなどの文献が「引用例」として示されます。


 引用例を示す理由は大きく分けて2つ有ります。

 まず1つ目の理由は、審査の客観性を保つためです。もし引用例を示す必要がなければ、拒絶の根拠がわからないので、審査官が仮にいい加減な審査や賄賂をもらって不正な審査をしてもわかりません。 それではまともな審査になりませんね。そこで、根拠をきちんと示すことにより審査の客観性を保っているのです。


 もう一つの理由は出願人が反論できるようにするためです。根拠が示されなければ反論したくても反論のしようがないですからね。

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 [関連事項と経験談]


(1) 審査官は引用例の存在を根拠として出願を拒絶しようとしているのですから、拒絶理由通知書に対して意見書を出して反論する場合には、出願している発明等と引用例の違いを明白にして、出願した発明などが引用例によって拒絶されるべきものではない旨を主張する必要があります。


(2) 拒絶理由通知書には「引用例」自体は添付されていません。公報の番号や書籍の名称などが示されているだけです。

 したがって、拒絶理由通知書を受け取った際には、自分で引用例を入手する必要が有ります。公報の場合は特許庁ホームページの特許電子図書館(IPDL)で閲覧,プリント可能です。

 引用例が書籍、カタログ等であって入手困難な場合は、特許庁に文献のコピーをしてもらうこともできますので、特許庁に入手方法を尋ねてみてください。(拒絶理由通知書の写しを添えて申し込む必要がある場合もあります。)

 尚、出願を特許事務所に依頼している場合には、特許事務所が引用例を取り寄せて添付してくれることが多いようです。(その際に「公報取寄費」を別途請求している特許事務所もあります。)


(3) 審査において引用例となる文献を探すことは審査の一環ですから本来審査官の仕事です。でも審査期間を短縮するために特許庁には審査官の補助として引用例を探す仕事をしている方もおられるそうです。私は特許内部のことはあまり知らないので、興味のある方は特許庁に聞いてください。





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