さかな  わかっちゃう  知的財産用語
特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


商品区分 (しょうひんくぶん)


商品区分とは、


 「商品及びサービスに関する国際分類」に基づいた商品とサービスの区分です。


 商標登録を受けようとする場合は商標登録出願をしますが、その際にその商標を独占的に使いたい商品又はサービス(役務)を特定してやる必要があります。

 そして特定した商品やサービスがどの商品区分に属しているかを願書に記載します。


 時々誤解している方もおられるのですが、商標登録を受けても独占的に使えるのは指定した商品又はサービスだけになります。全ての商品やサービスについて独占できるわけではありません。

(もし、全ての商品やサービスについて独占したければ、全ての商品やサービスを指定した商標登録出願をしなくてはならず、莫大な費用がかかります。)


 出願の料金や登録の料金はいくつの商品区分に属する商品やサービスを指定したかによって変わります。

 ( 具体的な料金については興味の有る方は、ご参考までに 商標料金表
    http://www.jpat.net/ryokintm.htm をご覧下さい。)



 例えば、「チョコレート」は商品区分で言うと第30類の商品です(細かく見ると第30類の「菓子及びパン」中の「洋菓子」に含まれます)。「コーヒー」も同じ第30類の商品です。

 一方、「日本酒」は第33類の商品です。

 ですから、「チョコレート」だけ、又は「チョコレートとコーヒー」について出願する場合は、指定される商品の区分は「第30類」だけなので、1区分の出願となります。


 一方、「チョコレートと日本酒」を指定する場合は「第30類」と「第33類」の2つの商品区分についての出願となり、料金も上の1区分の出願より高くなります。



 ちなみに、商品区分は第1類から第45類までの45の区分があり、その内で第1類から第34類までが商品についての区分、第35類から第45類までがサービス(役務)についての区分となっています。


            *                      *


[関連事項と経験談]
 
(1) 商品区分についての質問がよくあるので、商品区分と、各区分(類)に属する商品・サービスについての一覧表を作ってみました。
 http://www.jpat.net/kubun.htm


 商品やサービスの種類が多いので、はっきり言ってゴチャゴチャして大変見にくいですが、興味のある方はご自分の扱っておられる商品やサービスがどの区分になるのか確認されるのもよいかと思います。(もう少し見やすくできないか考えているところです。)


 ちなみに私のように特許事務所をしている場合は、第42類の「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務訴訟事件その他に関する法律事務」というサービスが該当します。



(2) 昔は日本独自の商標分類による商品区分が使われていましたが、平成4年に法改正でサービスマーク(サービスについての商標)の保護を加える際に、国際分類に基づく商品区分に変わりました。


 そのため古い日本分類に基づいて登録されている商標と、新しい国際分類に基づいて登録されている商標が混在しています。


 日本分類に基づいた区分について話しをする場合は「旧3類」のように呼びます。
 実は日本分類も何回か改正されているので、もう一つ古い日本分類は「旧旧3類」のように呼び、更にもう一つ古い日本分類については「旧旧旧3類」のように呼びます。ですから古い商標について話しをするときは事務所でもみんなで「キューキュー」言っています。



(3) 知的財産関係の報道に誤解を生む表現が多いことは以前お話ししたことがありますが、商品区分に関連しても紛らわしい報道を見かけます。


 例えば以前話題になった「阪神優勝」という商標ですが、あの商標権が全ての商品やサービスに及び、商標権者以外は誰も「阪神優勝」という文字を使ってはならないというような雰囲気のニュースを何回も見ました。

 商標権者は指定している「衣類」などの商品にのみ商標として独占使用できるだけで、指定していない商品やサービスについては独占的に使用する権利はありません。



(4) 昔は、1つの出願では1つの区分の商品しか出願することができませんでした。そのため、同じ商標であっても複数の区分について出願しようとすると複数の出願をする必要がありました。

 今では、1つの出願に複数の商品区分に属する商品を指定できるようになりました。

 もちろん今でも同じ商標について商品区分毎に出願することは可能です。

 商品区分毎に出願する場合と、複数の商品区分について出願する場合とでは それぞれメリットとデメリットがあります。

 2以上の商品区分についてまとめて出願する最大のメリットは、出願の際の費用が安くなることです。

 1区分の商標出願の印紙代は21,000円ですので、別々に2件出願すれば印紙代は2倍の42,000円となります。

 でも、1つの出願で2区分の商品について出願とすると36,000円となり、6,000円も安く出願できます。


 一方、2以上の商品区分についてまとめて出願する場合のデメリットとしては出願や権利の管理がしにくいことがあげられます。

 例えば、2つの区分の内、いずれかに登録できない理由(拒絶理由)がある場合、そのままでは出願が全体として拒絶され、問題のない方の商品区分の商品についても登録できません。
(そのような場合、補正書を提出して問題のある商品を削除すれば、残った商品については登録できます。でもそれだけ余計に手間がかかります。)


 又、審査の結果「登録しても良い」との結果(「登録査定」と言います)が出た時点では、既に出願人が指定した商品の一部について商標登録を受ける意欲がなくなっていることがあります。(例えば会社の業務内容の変更などの場合です。)


 そのとき1区分ずつ出願しているなら、不要な方の出願については登録料を納付せずに放置しておけば「出願無効」となるので何も手続きする必要はありません。(他の登録したい方の出願についてだけ登録料を払えばいいです。)


 でも2区分の出願をしていて、その内の1区分は不要だが他の1区分については登録を受けたいということになると放置しておくことができません。出願の全部が無効になってしまうからです。

 そのような場合は、手続補正書を提出して不要な商品区分を削除すると同時に、残った商品区分についての登録料を払う必要があります。ちょっと面倒ですね。

 ついでに権利の移転の際にも分割移転など面倒な場合があります。



(5) 商品区分は国際分類に基づいているので、日本人の感覚からして「なんで?」と疑問に思う分け方をしていることもあります。


 例えば「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒」等のお酒は全て第33類の商品です。でも、「ビール」だけは第32類の商品です。同じ酒屋さんで扱う商品なのですが、商品区分が違うのです。

 この「ビール」が含まれる第32類の商品としては他に「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」等品があります。つまり商品区分上では「ビール」は清涼飲料やジュースと同じグループとして扱われているのです。 

 なんか感覚的に変でしょ? このことについて知人と「欧米人はビールを酒と思っていないんじゃないか」というようなことを話した記憶があります。




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